2019/ 8/26(月)

宮崎出張③宮崎農業技術の土台「宮崎県総合農業試験場」

農業審議会の翌日は、みやざきブランドアンバサダーとしては知っておきたい、

ブランド品目を支える品種育成や在来作物についてマニアックに学ばせていただきました。

試験場概観

まず伺ったのは、宮崎県総合農業試験場(本場)です。

米、野菜、花、果樹、茶などの各品目の研究はもちろん

バイオテクノロジーや病害虫、土壌、残留農薬、食の機能性など幅広い研究を行っている

農業技術の土台ともいえる場。

試験研究ヒストリー

大変贅沢なことに、場長、生産工学部長、企画情報室長から丁寧なレクチャーをいただきました。

私は現在、宮崎県農業審議員として、第八次宮崎県農業・農村振興長期計画の策定に

少し関わらせていただいているわけですが、計画にあわせた試験場の取り組みを伺い、

宮崎農業がどうやって農業産出額全国5位になったのか、を振り返ることができました。

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(宮崎県総合農業試験場 資料)

やはり特筆すべきは第4期(平成3年~平成12年)「みやざきブランド」!

品種の選定、安定生産技術の開発が、完熟マンゴーのブランド確立につながりました。

マンゴーの栽培は昭和60年頃から取り組んでおり、約20年がかりの研究の賜物なのだそうです。

 

そして、宮崎県ならではの強みだと思うのが、第6期(平成17年~平成22年)の「食の安心・安全」です。

「食の安全分析センター」を島津製作所と共に設立し、宮崎方式残留農薬迅速分析技術を開発し、

スピード感ある「安全性」「機能性」「美味しさ」の見える化に成功したのです。

 

それにより、保健機能食品制度を活用した健康に着目した商品が続々と誕生しています。

→平成29年~ ピーマン「グリーンザウルス」が栄養機能商品として

→平成30年~ 冷凍野菜で全国初!「宮崎育ちのほうれんそう」が機能性表示食品として

→平成31年~ 完熟きんかん「たまたま」が栄養機能食品として全国販売

 

そして、現在、重点課題とされている研究は

①農業の成長産業化を牽引する技術開発=スマート農業の推進、マーケットインへの対応

②農業セーフティーネット支援技術の開発=温暖化を逆手にとったライチの栽培・貯蔵技術開発

③食の安全と消費者の信頼確保技術の開発

=機能性成分の高度迅速分析技術の開発

=メタボロミクスによるおいしさ評価技術開発に着手 →技術確立がすごく楽しみ!

④地域課題に迅速に対応する総合産業化支援技術の開発

=「へべす」の機能性成分、生理特性の解明

=薬用作物の栽培技術の開発、地域作物の特性解明

なのだそうです。(④については「薬草・地域作物センター」で学ばせていただきました。)

ライチ特産化成功のカギは 完熟マンゴーにあった!

ライチの特産化に成功した理由がまたドラマチックでした。

約30年前、東南アジアの栽培現場を回り、宮崎で栽培が可能そうで、商品価値も高そうなものを探す中、

ライチを見いだし導入するも大失敗・・・断念した経緯があったのだそうです。

リトライとなった平成18年頃から本格的な試験栽培で見事成功!

「マンゴーで技術を作ってきたのが成功の秘訣でした。

マンゴーと栽培技術がすごく似ていることが後になってわかったんです。」と生産工学部長。

やはり技術の蓄積あってだったんですね。

南国フルーツ先進県・宮崎にとってパパイヤ栽培は簡単すぎる?

近年、需要が高まりつつある青(未熟の野菜)パパイヤについて伺ってみると、意外な答えが返ってきました。

「完熟マンゴー」のように差別化がしづらいために力をいれていないだけで、

宮崎の技術をもってすれば、簡単で周年栽培もすでにできていると!

さすが、南国フルーツ先進県ですね。

 

ちなみに果物としての完熟パパイヤは「サンライズソロ」という品種が周年栽培されており、

新宿伊勢丹などで取り扱いがあるのだそうです。

教えていただいた、生ハム&チーズ&パパイヤの組み合わせ、試してみなければ!

ピーマン王国の使命感

続いて、バイオテクノロジー技術を活用した農業研究についてレクチャーいただきました。

ここで感じはのは、日本を代表するピーマン産地のプライドです。

 

宮崎県では、「葯(やく)培養」という技術を日本で初めて実用化。

それにより、品種育成がこれまでの半分くらいの年月で可能になったのだそうです。

やく培養

ただし、とても難しい技術で大手種苗メーカーであっても導入できないのが現状。。。

最近では共同開発も進めているそう。

「ピーマンの品種改良産業がつぶれたら、宮崎の産地がつぶれてしまいます。

オールジャパンでそれぞれが素材を出し合ってやっていく時代なのかなと。

宮崎県は葯培養技術をもっているので、その核になってやっていけないかと考えているんです」

県によって適する品種も違うそうで、研究成果を

宮崎のピーマン産地だけでなく、全国のピーマン産地に還元していこうとしているのです。

 

最後に、辛みのある大型カラーピーマンの新品種を、おすすめのピクルスで試食させていただきました。

aka

これが、韓国とうがらしを思わせる旨味のある辛みで後をひく!

辛いんですが、さっと辛みがひくので、野菜として食べられるんです。

お酒のあてにしたら最高かも。おつまみピーマンとしてヒットの予感です。

 

みやざきブランドの源流にふれ、わくわくが止まらない時間でした。

次は、支場のひとつ薬用・地域作物センターへ!