年に一度だけ、短い旬を迎えるフルーツのように
期間限定でフランスから帰国される山下朝史さん。
パリの三ッ星シェフらに支持され続けている野菜の作り手です。
今年も、帰国後すぐに開かれる「山下さんを囲む会」にお声かけいただき、
山下さんと、山下さんの野菜たちにお会いできました♪
ちなみに、この写真は私たちの親密さを表しているではありません(笑)
山下さんのぶれないスタンスを表しています。
女性にはとことんジェントルに、出逢いと別れはハグ、
写真を撮る時は、肩を抱いたり、膝にのせてくださったりします(笑)
ちなみに男性とは握手、並んで笑顔のみです(笑)
山下朝史さんの「農道」とは
初めてお会いできた時、おっしゃっていた言葉がとても印象的でした。
「野菜は大地のメッセージ
農家は そこに詞をつけ
料理人は メロディーをつけ
食べる人は うたう」
芸術家のようなドラマチックな表現をする方だなぁと。
後日、出版された著作「農道」を拝読して、その表現に至った経緯、
なぜ山下さんがフランスの名だたるシェフの心と味覚を満たす
野菜を生み出し続けているのかが、すとんと落ちたのでした。
やはり、「野菜は育てる人の人生そのもの」です。
写真集のように美しい写真のキャプションを見るだけでも勉強になると思います。
品種名も書かれていますが、どれもホームセンターで売っているような
ごく一般的な品種であることに驚くでしょう。
畑も、もともと石が多かったり、決して恵まれた環境ではないそうです。
それに対し、山下さんはこう考えます。
「土は貧しくても美味しい野菜は作れる」
「何があっても、今日から目の前にある土を愛し続けようと決めた」
「愛することは、相手を変える試みではなく、自分が変わろうとする努力です。」
愛なんです、愛は覚悟なんです、だから愛のある人は強いんですね。
「絶対一番」。という項も印象に残っています。
山下さんが目指す野菜像についての表現です。(詳しくは「農道」をお読みください)
味覚、感情、感覚は人それぞれ。ゆえに一番も多様。
だから、自分が自信をもって提案できるか、責任をもてるか、
そこが問われているんですよね、やっぱり。
一流の人に共通することですが、
●ピンチをチャンスに変えている
●好きや専門性など人生を畑に生かしている
(結果、たったひとつの「もの」「こと」につながる)
他と違うところは
●効率を追い求めるのではなく、あえて教わることなく見つけた「農道」
(なぜその表現に至ったかはご一読を。)が共感を呼んでいる
私が拝読して、お話していて感じることです。
山下さんを囲む会2017
今年は、日本の生産者さんの野菜との饗宴がテーマ。
奇しくも全員お知り合いでしたが、都市農業のドン!小金井の金ちゃん、
野菜の魅せ方の達人!松戸のタケイファーム武井さん、
伊勢原の辻さん、綾瀬の田中さんが野菜と共に参加、
帝国ホテルや老舗フレンチ「アピシウス」などで選ばれ続けているイチゴを育む
栃木ハート&ベリーの野口さんも最高級イチゴをお持ちなっていました。
まずは、ネギをシンプルにローストで食べ比べ。
山下さんの「下ねたネギ」(ご本人曰く。九条太ネギを山下さん流に育てたもの。)、
武井さんのネギ、下仁田ネギ、自然栽培のネギです。
甘みや食感、ぬるの感じがそれぞれ異なるのですが、山下さんのネギは味が複層的。
かむ度に、味が変化する感じがします。
春菊は、食べる前は薫りのリッチさを感じるのに食べると軽やか。
他にもたくさんいただいたのですが、一部をご紹介すると
金ちゃんの「紅はるか(サツマイモ)」は、シークワーサーとのコラボで。
辻さんのトマトたち。
種苗会社の方をも唸らせたという武井さんのプチヴェール3色の素揚げ。
熱を加えても色が美しいままなのがいいですね。
心から満たされる食事をとれて幸せな夜でした。
*山下さんの「農道」は、日本では未発売なのですが、帰国時に何冊かお持ちくださっているので、
気になる方、お問い合わせ欄からご連絡くださいませ。入手のお手伝いできるかもしれません。