2017/ 8/28(月)

50年以上の歴史を物語る樹は圧巻!赤ナシの先駆け産地・広島県世羅のナシ

ナシと

講演で広島を訪れた際、

広島県果実農業協同組合連合会(広島果実連)の河村所長にご案内にただき、

広島県が全国に誇るナシ産地へ行って参りました。

 

《目次》

・赤ナシ栽培のパイオニア「世羅幸水農園」

・約50年の歴史を物語る絶景

・ナシにジャガイモと同じデンプン質がある?!

 

赤ナシ栽培のパイオニア「世羅幸水農園」

お伺いしたのは、県のほぼ中央

「広島県のおへそ」とも言われる地域・世羅高原にある農事組合法人「世羅幸水農園」。

東京ドーム13個分にも及ぶ日本最大級の栽培面積

ナシを主力に、ブドウ、イチゴ、リンゴなど多品目の果樹栽培。果物狩りもできます。

 

「フルーツロード」と呼ばれる果樹園が立ち並ぶ道は、

それぞれの果樹の旬となると、「フルーツ渋滞」が起こるほど人気なのだとか。

 

注目すべきは、私たちにとってなじみある「幸水」や「豊水」などに代表される

赤ナシ栽培のパイオニアとしても知られる農園だということ!

 

瀬戸内海と日本海の分水嶺となる世羅台地ならではの、夏場の寒暖差が大きい気候を活かし

昭和38(1953)年の設立当初、約20haに「幸水」を植えたのが始まり。

 

まだナシと言えば青ナシ「二十世紀」だった時代。

日本で最初の「幸水」大規模経営農園で、

赤ナシの栽培技術がいち早く確立されたのは、ここ世羅幸水農園なのだそうです!

 

半世紀3世代にわたる協業経営の取り組みは、

平成26年度(第53回)農林水産祭の最高賞「天皇杯」に輝いています。

 

約50年の歴史を物語る絶景

西日本だから関東の産地より熟期が早いのかな?と思っていましたが、

雪も降る高原地域なので、むしろ温暖な宇都宮より遅いくらいなのだそう。

ということで、8月上旬は、トップバッターの品種「愛甘水」「あけみず」「新水」たちでさえ出始め。

まだまだこれから、という時期でした。

部会長と

お忙しい中、対応くださったのは原田修組合長です。

 

梨園につくと、ただならぬ威厳すら感じて圧倒されました!

設立当初に植えられた樹がまだ現役で、見渡す限り樹齢50年を超える巨木ばかりなのです。

50年の樹

ナシが大好きでこれまで数えきれないほど梨園には足を運んでいますが、

これほど太い樹ばかりが立ち並ぶ景色は初めてです。

 

しかも、とんでもなく実がなっている!!!

老体にこんなに成らせていいのかしら?と不安になりますが、まだ衰えるところを知らない勢いなのだそう。

 

「歴史ある産地でありながら、最先端の栽培研究もしているのが世羅なんですよ」

と河村所長。

印がついている樹があったのですが、それは大学との共同研究の対象になっている樹なのだそう。

徒長枝

例えば、徒長枝と呼ばれる枝をあえて上に伸ばしたままにしたら

揃えたかのように同じくらいのところで生長が止まり、樹が暴れなくなった、というお話も伺いました。

常識の向こう側にヒントがあるから面白いですね。

 

ナシにジャガイモと同じデンプン質がある?!

続いて、園地のすぐ近くにある「ビルネ・ラーデン」という直売施設へ。

直売

まだ採り始めのナシを味見をさせていただくと、

「・・・?!(内心、粉っぽい。。。口にしずらい・・・)初めて食べた食感です。」

 

すると、「まだ早いから、デンプンがね」。と全く驚く様子もない農園の方。

 

んんん???デンプン?あのジャガイモなどに含まれるデンプン?

まさかまさか!あくまで通称なのではないか?と私があまりにも疑うものだから

河村所長がすぐに大学の先生お2人に電話をかけて調べてくださいました。

 

なんと実際、同じデンプン質が梨にも含まれるのだそうです!!!

 

ただし蓄積型と非蓄積型とがあるため、私たちが食べる時に感じる印象が全く異なるようです。

(また聞きのメモなので、専門的な表現ではありませんが。。。)

 

●蓄積型→

ジャガイモなどはこちら。そのものが種芋になるので、デンプン質が長く残り、ゆっくり糖化する。

(ジャガイモも貯蔵して春になるとデンプンが糖に代わって甘みが強くなるので納得。)

 

●非蓄積型→

ナシなどの果実は、鳥などに食べてもらい種を落としてもらうことで子孫を残すために、

すぐに糖化して完熟する頃にはデンプン質が感じられなくなる。

 

いやー、びっくりした。

確かに、あの粉っぽい食感はデンプンと言われて納得だったのです。

ナシ

河村所長曰く、もぎ始めのタイミングがとても大切で、

遅くスタートすると終盤、収穫が間に合わなくなり、過熟してしまうのが西日本の産地ならではの悩み。

なので、少し早いかな、と言うところからスタートするのだそうです。

 

偶然にも、もぎ始めのタイミングに産地にいたから体験できた味わい。

ナシのもう一つの顔を見たようでした。

 

続編 ナシの甘さだけでできた「なしのチャツネ」「なしみつ」「なしのコンポート」

 

 

農事組合法人 世羅幸水農園

〒722-1112 広島県世羅郡世羅町本郷365-20

 

ビルネ・ラーデン(直売所) *こちらのサイトからお取り寄せができます!

〒722-1112 広島県世羅郡世羅町本郷365-24

TEL:0847-25-0174 [ 8:00~17:00(夏季17:30)]