2017/ 10/02(月)

ほぼ栗!と叫ばずにはいられない「青森毛豆」

枝豆好きなら秋枝豆を

近年、枝豆といえば真夏と思われていますが、

濃厚な味わいの枝豆が旬を迎えるのは秋です。(概ね9月下旬から10月中旬)

 

例えば、丹波篠山黒枝豆。

味のよい時期を知ってほしい、との思いから解禁日が設けられていて今年は10月5日でした。

涼しくなってからじっくりゆっくり、鞘がパンパンになるまで育った枝豆は

コクがあって、芋栗かぼちゃに引けを取らない濃厚さです。

 

そんな秋枝豆の中でも、一度食べたら忘れられなくなるほどの存在感を放つ枝豆があります。

青森県が誇る在来枝豆「毛豆」です。

蒸し毛豆ヒキ

青森の風土に根差した作物「青森毛豆」

黒目青大豆の一種で、その名の通り莢、茎、葉などが黄金色の毛に覆われた大粒の枝豆。

収穫の時はもっとふさふさで、手が痛いくらい毛が元気なのだそう。

 

でも、めったにお目にかかれないレアな枝豆でもあります。

というのも「青森毛豆」は、農家のお母さんが家族に美味しい豆を食べてもらうために種を採り、

育ててきた「農嫁(のうか)に受け継がれる豆」(青森毛豆研究会パンフレットより)。

自家消費がメインだったこと、

鮮度が美味しさに直結する食べ物なだけにほとんど県外に出回らなかったのです。

(在来毛豆をもとに青森県が開発した早生品種「豊丸」と「福丸」が「毛豆」として出回ることも。

共に出回る時期が約1ヶ月早く、在来とは味わいが違うそう。何とか分かりやすくしてほしいものです。。。)

 

ゆえに、家ごとに見た目や味わいに個性があるのも特徴です。(大まかな特徴は同じ)

「青森毛豆」の認知度を上げる活動をしている「青森毛豆研究会」では、その個性もエンターテイメント化。

毎年「最強毛豆決定戦」を開催し、消費者を巻き込んだムーブメントになっています。

 

先日、特別なイベントで久々に「毛豆」と再会できたのですが、

その時に食のプロたちを「ほぼ栗だー!」とうならせた最高の食べ方がこれ!

鍋

「蒸し毛豆」です!!!

もう耳でだけ聞いたら、もはや食べ物と思えないようなインパクトもまたいい(笑)

 

蒸し焼きは、枝豆の魅力を余すこと引き出すことができる方法。

もともと味わいの濃い「毛豆」を蒸し焼きにしたら、

ほぼ栗のような濃厚なコクある甘みとほっくり感になるわけです。

また、皮の焦げ目がカラメルのような役割も果たしてくれて、たまりません。

 

毛豆を漬け物にする食文化

驚いたのは、「青森毛豆」の漬物「豆漬け」でした。

生のまま保存ができない毛豆を長く味わう工夫として、塩漬けにして保存してきたのだそう。

豆漬け

乳酸発酵させるので、酸味も加わって、ますますお酒に合いそうな絶妙な風味を醸していました。

私がいただいたものは、塩少な目で漬けた、言わば浅漬けのものでしたが、

本来は、そのまま食べられないくらいの塩分濃度なため、流水で塩抜きしてからいただくのだそう。

 

各地に在来枝豆あれど、この保存方法は珍しい!

独特の食べ方があるのは、毛豆が地域に古くから根ざしてきた証でもあります。

これは食べ継ぐべき弘前の「食財」ですね。