2019/ 8/27(火)

宮崎出張④みやざき「食財」の源流!「薬草・地域作物センター」

マニアックな視点担当のみやざきブランドアンバサダーとしては、

絶対に行きたかった場所は、宮崎県総合農業試験場の支場「薬草・地域作物センターです。

まさに薬草・地域作物パラダイスでした!!!

薬草・地域作物に親しめる自然公園

薬草・地域作物センターは、その名の通り、

薬草植物やハーブ、地域作物、山菜などを活用した「地域農業の振興」と「食と健康の情報発信」を目的に、

平成13年に開設された試験場です。

薬草センター外観

(薬草・地域作物センターFBページより)

地域の交流施設としての活用も兼ねた管理研修棟は、地域の学校をリノベーションしたものだそう!

その庭園のように約600種の薬草・地域植物が息づく広大な展示見本園や温室が広がっています。

見本園

すごいのは、研究の場でありながら、全て無料で公開されているということ!

入浴施設と宿泊施設も完備した「道の駅ゆ~ぱるのじり」に隣接しているので、

ゆっくり学んでくつろいで、お買い物までできてしまう!

地域作物をなぜ研究するのか

所長と主任が、同センターの目的や取り組みについて丁寧なレクチャーをしてくださいました。

井上所長

薬草・地域作物センター井上所長

地域作物に関する試験研究を行うことで、農業振興を模索する観点としては

●農産物ブランドの付加価値を高める補完的作物として

農業経営の複合作物6次化作物、フードビジネス戦略品目として

高齢者等の取り組みやすい作目として、とご説明いただきました。

 

特に下線部については私も兼ねてから主張しているポイントでもあります。

雑穀の粟は、今や高値で取引されているという例も出してくださいました。

 

そう、種をつなげていれば、時を越えて価値が再認識されたときに地域資源として活躍しうるんです。

地域作物には、縁の下の力もちとしての役割もあります。

その土地になじんできた植物なので、新しい品種を育成する際の遺伝資源としても実力を発揮してくれます。

一方で、生きものなので種を継がねば途絶えてしまう、儚さも。

 

宮崎県内の地域作物については全県調査を進めているところだそう。

代表的なものとして挙げられたのは

●佐土原ナス(宮崎市)

→2005年、佐土原ナス研究会が発足し、ロゴマークを商標登録。

→宮崎市内の飲食店では「焼きナス」が定番メニュー化。

→「熊本赤なす」、「ていざなす」(信州の伝統野菜)、えんぴつなす(新潟)のルーツとされる

黒皮かぼちゃ(宮崎市)

→「みやざき黒皮かぼちゃ」として、みやざきブランド品目にも認定

→地理的表示保護制度(GI)申請中

糸巻きダイコン(西米良村)

→地理的表示保護制度(GI)申請中、イラストの商標登録

 

いずれも、宮崎県総合農業試験場や同センターが一部関わっているそうですが、

種の形質を安定させたものを地域に戻そうとすると

「(自分が思う地域野菜の形質と)これは違う」と言われてしまうこともあるとか。

これは、私が研究しているフィールドでもよく聞かれるエピソードです。

「あるあるですね~」と盛り上がりました。

 

大変興味深かったのは、同センターのある小林市の地域作物「クマナ」です。

ちょうど翌日に伺う予定の須木村に自生しているアブラナ科の植物。

昭和40年代に農協の会長さんが「須木の特産に」と栗園の方に配ったのが始まり、

と言われているそうです。

その名残で、今も栗畑に見られるとか。

寒さに強く、冬場も小松菜のように扱われていたそうで、お雑煮に欠かせない存在。

「二日酔いの時に味噌汁食べるといい」と仰る方も。

今は旬ではないということで、食べられませんでしたが、可能性を感じます☆

「おいしい」見本園

レクチャーの後は見本園へ。もちろん「地域作物」コーナーがあります。

畑

佐土原なす、さまざまな地きゅうり、かぼちゃなどが、ちょうど実りの時を迎えていました。

 

温室の中には、バナナなどの南国フルーツはもちろん、個性的な植物もいらして、見ていて飽きません。

黒猫

ブラックキャット

あ~、全く時間が足りませんでした。

9月~10月の日曜は、薬剤師さんによる解説ツアーも開催されるそう。

管理研修棟内にあった、薬草標本や加工品などを揃えた展示室、図書室も今度はゆっくり拝見したいです。

 

 

貴重なお時間を割いてくださったみなさま、ありがとうございました。

集合写真

(左から、小林市の野菜ソムリエ大角さん、井上所長、堤主任、宮崎県農業連携推進課みやざきブランド推進室の岡部主査と)