希少な真夏の柑橘
「国産のバレンシアオレンジ?!あるの?!」
あるんです!ほとんどが海外産で国産はごくわずかですが。
その約8割は、柑橘王国・和歌山県で栽培されています。
昨年の6月に農経新聞社の視察で和歌山市中央卸売市場を視察した時に、私も知りました。
いつも独特のセリ用語などは理解できないのですが、
和歌山市中央卸売市場の果物セリはとりわけ興味深かったです。
素人には「ヴェー」と聴こえるんですが、
しっかりとセリ落とされていくバレンシアオレンジたち。
江戸時代から続く善兵衛農園
かくして、ずっと気になっていた和歌山のバレンシアオレンジ。
柑橘王国・紀州有田の中でも「田村みかん」の名でブランド産地として知られる田村地区
「善兵衛農園」のバレンシアオレンジをお取り寄せしました。
(田村地区は、醤油発祥の地として知られる湯浅町にあります)
善兵衛農園は、さかのぼること約220年前、江戸時代の天保年間から
田村の地で、みかんを栽培し続けている歴史ある農園。
古くから使い続けている木箱などが数多く残っていて、歴史を物語っていました。
この趣、たまりません。
ご縁あって5月末、ちょうどビワの旬の時期に伺ったのですが
田村地区は、おだやかな海と山に囲まれた、とてもとても居心地のよい土地でした。

写真;善兵衛農園
あまりに気に入ってしまい、相当な時間、この小さな町にいた気がする(笑)
そして!育てている7代目・井上信太郎くんが好青年すぎる!!!
(信太郎くんのことを書きだしたら長くなってしまうので、それはまた改めて(笑))
国産バレンシアオレンジがほとんどないワケ
でも、世界的には最もメジャーなオレンジであるバレンシアオレンジは、
なぜ日本ではほとんど栽培されていないのでしょうか?
その答えは、信太郎くんからのプレゼントにありました。
葉っぱ付きのバレンシアオレンジをよく見てみると、赤ちゃんバレンシアオレンジが!!!
こういう状態になるのは、収穫までに14ヶ月もかかるから。
そう、1年以上かかるので、来年収穫する赤ちゃんがもう樹になっているのです!!!
バレンシアオレンジを成らせる樹も、育てる人も大変です。。。
さらに、栽培期間の長さゆえに回青現象という摩訶不思議な現象が起こるから。
これについては、信太郎くんブログがとてもわかりやすいので、そちらをご覧ください。
野菜ジャーナリストが果物を伝えるわけ
そうそう、こうやって果物について熱く語り始めると、
「野菜ジャーナリスト」なのに果物も取材するんですね、と言われます(笑)
はい、もちろん果物も取材対象です。むしろ積極的に果物を取材して発信しています。
それは、
伝えなければいけない価値を、伝える必要性を強く強く現場で感じるからです。
だって、1年に一度しか実らない。しかも、実るまでに何年もかかるものも多いんですよ。
なのに台風などで、天塩にかけた子供がダメになってしまうリスクも高い。。。
私だったら心臓がもたない。。。(汗)
そんな果実を天塩にかけて育ててくださる生産者さんの心意気も知ってもらいたい、
そう思うわけです。
ということで、今回は施餓鬼会のおもてなし食材としてお取り寄せして、みんなでいただきました。
まず、切った瞬間あふれる薫りが華やか!みずみずしい!
パイナップルのようなトロピカルな酸味がたまらない~!
そして、皮が手でむけるくらい薄くて実離れがよく食べやすい!
(これは国産ならではなのか?善兵衛農園ならではなのか?)
一気に3個くらい食べちゃいました(笑)
皆さんからも「ほどよい酸味があるから、暑い季節にぴったり!」、
「この時期に、こんなにジューシーな国産オレンジが食べられるだなんて~!」
「心がこもっている味がする」
「今シーズン食べた柑橘の中で一番!止まらない~」と喜んでいただき私も幸せでした。
善兵衛農園のバレンシアオレンジは数が少なく、ほぼ完売ですが、
今月いっぱいは、和歌山県田辺市のバレンシアオレンジが旬。
出逢えたら体感してみてくださいね。