1周年を迎えた「東京農村」とは
オープンから1年を迎えた「東京農村」でカンパイ!いや「開墾」してきました。
東京農村は「東京の農業が体感できるコミュニティ」として、
東京の農家が異業種の仲間との協同で立ち上げた場です。
「そんな手があったのか!」
ビルオーナーの中村克之さんから経緯を伺った時の驚きは今でも鮮明です。
中村さんは、国分寺市で300年以上つづく農家の後継者。
農地の半分以上が、道路用地として買収されることになった際、
その代替地として選んだのが東京のど真ん中、赤坂見附の土地だったのだそうです。
そこに5階建てのビルを新たに建てての大挑戦。
並々ならぬ覚悟を感じます。
東京農村ビルは、1階から3階は東京野菜が楽しめる多彩な飲食店、
4階はシェアオフィス、5階はシェアキッチンという構成。
シェアスペースでは定期的にイベントが開催され、東京農業に親しめる場として機能しています。
1周年記念「スペシャル農サロン」×「食べる通信」創始者・高橋博之氏
1周年記念イベントの中日、「食べる通信」創始者の高橋博之氏をお迎えした日に
お祝いにいってまいりました。
高橋氏の講演、続いてビルのプロデュースを担当している
「東京農業活性化ベンチャー・エマリコくにたち」の菱沼代表とのクロストーク、
中村さんとのクロストークに「農天気」小野代表の見事なファシリテート。
印象に残ったキートークをシェアしましょう。
【高橋博之氏 講演】
●モノ余りの時代に、モノ不足の時代の物差しGDPを使い、同じ流通をしているからいけない!
●人生100年時代、何のために生きるのか?を語ろう!
必要なのは他社との関わり。その〈あいだ〉が大事。農業はさまざまな関係性を育む。
摩擦のない「ツルツルの関係」から「ごにょごにょの関係」へ。
●消費のための労働から解放される時代。
余った時間にアーバンアグリカルチャー(都市農業)が必要!
【都市流通・小売りの未来「八百屋はどうやって生き残る?」】
Q.もし東京で八百屋をやるなら?
高橋:寮のおばちゃんみたいな、おせっかいをやく八百屋。
食堂を併設。距離を生かした強い関係性に活路をみる。
Q.働き盛りは忙しくて調理の時間がとれない実態ですが?
高橋:これから人が忙しくなるのかは疑問。
お金のかからない余暇としての料理が復権する!料理自体をシェアするようになるのでは。
菱沼:買い物が家事でなく余暇になってほしい
Q.ライバルは?
高橋:ディズニー!一産業をエンタメ化する!
食べ物自体にお金を払ってもらうのは難しい。人は価値を感じたところに払う。
口が達者な人が売るのがうまいとは限らない。
田舎のじいちゃん、ばあちゃん、その人なりのしゃべり方がある。
菱沼:八百屋(直売所)=温度のある空間。温度のない直売所の、温度を整えたい。
【小規模都市農家の未来「小規模農家面積でどう生き残るか?」】
中村:紡いで語って価値と付加価値をあげる。生産現場を開放する→近くでみせる力がある。
高橋:農家が塾の先生になればいい。
最近では有名校の面接で「自然体験したことありますか?」と聞かれるらしい
高橋:「食べる通信」を6年やって、1%くらいしか実際に現地に足を運ぶようなモデルケースは起きていない。
階段の一段目を作りたい。
Q.ストーリを伝える仕事をしていると意外に文章は読まれていない。何が必要?
高橋:人は食べ物に興味がある。
人・ストーリーから、というスタンスから変化している。
農村・漁村は弱っている。ここ10年が勝負。
何万年の歴史を記録しておくことで、50年後が違うものになる。
看取る。価値を見届けることをやらないといけない。
中村:農地を引き継がないと二度と畑を持てない。娘にも選んでもらいたい。
「こくベジ」の取り組みなどを通して市内で知られていくことで魅力的かもと思ってもらえたら。
「看取る」なんだか、ずしんとくる言葉でした。
じいちゃん、ばあちゃんの言葉を記録しようとしている
私の活動のベースにもつながります。
農業のキープレーヤーがゾロゾロで、続く懇親会も有意義な時間でした。
オープン時に蒔いた種が確かに芽ばえ、育っているのを体感しました。